2024.11.18(月)最高気温19度 雨のち曇り
昨夜の残り、さつまいもの豚汁とベーグルという変な組み合わせの朝ご飯。仕事をして出かける支度。今日は映画を観に都心に行く日。
『動物界』はすごく面白かった。人が動物へと変異し、凶暴になってしまうという「奇病」が蔓延する時代に生きる親子の話で、父と子が動物化してしまった母親が入院する施設に面会に行くところから始まる。息子は明らかに母親に反発していて、「お前もお母さんと話せよ」と促されても「いい」とそっけなく部屋の隅に立っているばかり。ある時母を隔離施設からまた隔離施設へ輸送している最中、車が事故に遭ってしまい、母の安否は不明となってしまう。父と子は森に母を探しに行くけれど…という風に物語が進んでいく。
これ、『千と千尋の神隠し』みたいだなと思いながら観ていた。共存を目指すのか排除を目指すのかで息子の心も揺れていくし、息子がその後辿る道が「家族」から「社会」の方へ進んでいくし面白かった。COVID以降の自立の話という感じ。おすすめです。出てくる動物も魚だったり鳥だったりして、しかも自分がどの動物になるか選べないというハードさ。みんな成るなら何がいいですか。私は最初犬がいいなと思ったけれど、人のことを好きな犬が好きなだけで、動物の中で生きていくということを考えてなかった。キリンがいいかな。人間の世界で暮らすのは向かないけれど、立ったまま寝れるし。
うどんを食べて、『文学界』12月号を買って帰宅した。山中瑤子と金原ひとみの対談が読みたくて。
11.19(火)最高気温13度 晴れ
今日はめっちゃ寒いという情報を先週に得ていた。ふかふかのアウターの下にニットを挟んで外出。スカートの下に腹巻パンツも仕込んだ。ホッカイロも忘れずに。冷えにおびえている。
友達と待ち合わせて、『ハニワと土偶の近代』を観に。「縄文時代は女性が優位な時代なんですよ」と教えてもらったので、フェミニズム的な話が多いのかなと思ってたら、「はにわが軍国の象徴として使われていた」という話ばっかり。神武天皇とか、はにわと出兵する兵士の表情を並べて賛美する高村光太郎の話とか。高村光太郎は「はにゃ?」というはに丸のことをどう思うんだろう。
MOMATコレクションで藤田嗣治の戦争絵画を観れた。思ってたより大きい作品でびっくりした。「暗さ」の表現がすごい。
さて、これが観たかった。『フェミニズムと映像表現』は想像より小ぶりの展示だったけれど面白かった。キム・スージャ『針の女』という作品が気に入った。人混みの中で針のように立つ女性の後ろ姿を映した作品で興味深い。彼女のことを不躾に見てくる人や、ずっと目線をそらさない人もいる。一瞥して去っていく人がほとんどなのだけれど。この女性はどんな顔をしてここに立っていたのだろうか。
おもしろかったねと言って美術館を後にし、スパゲティを食べてお茶を飲んだ。今東京では、『特別展 はにわ』という展示もやっているそうで、今の日本の状況も考えると軍拡の象徴としてまた賛美されているのかとか考えてしまうよね。
11.20(水)最高気温8度 雨
最高気温1桁はキツイ。仕事をして午後から図書館へ本を返しに行ったり、郵便局に切手を買いに行った。なんか世の中の恥部を沢山見たような気持ちになっている。
11.21(木)最高気温14度 雨時々曇り
作業をして、午後から出かけた。歩いていると考えがまとまる(ような気がする)ので、スマホの録音機能を起動させた。有線のイヤホンマイクを挿して、1人でぶつぶつ喋ったのに、うまく音が録れておらず、目的地に着いた後に急いでメモを取る。以下話していたこと。
ここ何日か「さみしさ」について考えていて、それについて先週音声付きのエッセイも出した。
月曜日に池田さんという知識人(と私は思っている)に「さみしいと感じたことあるか」と聞いたら「ないですね」とあっさり言われ、「やることが沢山あるからさみしくない」と続けられたので「さみしいってそういうことじゃあないでしょう!」と思わず大きな声を出してしまった。でも少し経って多分池田さんの言う「さみしい」の感覚が世の中の「さみしい」で、自分の思う「さみしさ」が大幅にずれていることに気づいた。やることがあっても寂しい。暇とはあまり結びつかないもので、自分の中では「世の中にいかにコミットできているか」「理解されているか」に近いものかもしれない。その時池田さんには「家の中でも1人という感覚があった」という話と、子どもの頃母が学習机の中を盗み見た形跡があり、そこにあった漫画家へのファンレターを笑われた体験が、自分の感情を硬化させてしまったと言った。私の時代は「子どものことは学校の先生の言うことを聞く」という風潮が世の中に色濃くあり、母曰く「非行に走らないように、子どもの持ち物を監視するように言われた」そうなのだけれど、その結果私は心の柔らかい部分を言えなくなってしまい、両親をかなり困らせる、姉弟一の問題児となってしまう。理由はこれだけじゃないけれど、本当に困ったもんだ。
もう10年近く前のことだけれど、姉が結婚してずっと住んでいたところから、義兄の実家に越すことになり、「住所が変わります、遊びに来てね」という連絡をくれたことがあった。その時、二世帯とはいえ、夫の家族と住むことを会社の人に話すと「大変だね」と絶対言われるという話をしてくれた。「自分だけルーツが違って、”嫁”は孤独だから子供産むのかな」という推測もしていた。それから何年かたって姪が産まれたわけだけれど、その時のことを姉は覚えているだろうか。そのうち聞いてみたい。実際に義実家に住んだら寂しかった?とも。今その話を思い返すと、「大変」という言葉と「孤独」というイメージの相性が良すぎて、「きっと孤独なんだ」と思い込んだということもありそうだ。私はそれがよくあるから。
同じく5年くらい前に、そこそこ長い友人から「(カンミちゃんは)きっと一生さみしいんだろうな」とぼそりと言われたことがあって、文脈とか全く覚えていないのだけれど、その瞬間を本当にしょっちゅう思い出してる。その時「きっとそうなんだろうな」と納得したし、今もその気持ちは変わらない。でもやっぱり「一生さみしい」と言われたことがなんだか悔しくて、苦しくて、考えてた。昨夜だか今朝だったか、「自分のさみしさは川の流れのようなもの」と閃いて、台風とか外からの刺激が起きない限りは、まだなんとか持ちこたえてやっているのではないか?とぼんやり思った。その台風も気候変動でこれから多くなるんだろうけれど。
なぜか冬になると食べたくなるヨーグルトジャーマニ―を食べて帰宅した。本当はもう夜ご飯の時間なのに。
11.22(金)最高気温18度 晴れ
『ドリーム・シナリオ』を観に行った。ストーリーは冴えない大学教授のポールがある時沢山の人の夢に出てくるようになる。ポールは夢のなかでは何もしない。子供が叫んでいてもただ見ているだけ。「あの夢に出てくるおじさん」として話題になり、ポールは家族からも自慢の対象となり、長年の夢だった本の出版もできるのではと喜ぶ。けれど次第に夢の内容に変化が表れて…という奇想天外な話。SNSとキャンセルカルチャーについてだった。『シック・オブ・マイセルフ』で承認欲求と自己愛について描いた監督の新作というのは観た後に知る。
ニコラス・ケイジの演技が上手くて。ただの情けないおじさんだったのが、なんかどんどん大胆になっていく様子とか「さすが」の一言。自分が世間にどう見られているか分かっているんだなという印象を受けた。なんだろう、言いたいことは分かるのだけれどびっくりするくらいハマらなくて悲しかった。『TAR』好きだったなとか同じテーマの他作のことを考えて帰宅する。帰りに美味しいと噂のマカロンを買って帰る。美味しいといいなあ。
11.23(土)最高気温15度 曇りのち晴れ
「どうやら(自分の求める)愛情は諦めの先にあること」に気づいた。愛情というか、承認とか、理解、執着とかじゃない、無償のものというものに自分はとてもこだわっている。そもそもこのこだわりがどこから来たのか分からない。母の実家にはそれがあると思い込んでいたけれど、もしかしたら無かったのかもしれないし、もう分からないということを考えていた。本当はもっと掘り下げたいけれど、、人生においてトラウマが多すぎて、もう考えたくないNG案件がどんどん増えていく。
『もうひとつの声 男女の道徳観のちがいと女性のアイデンティティ』を読み終えた。『ケアの倫理』で紹介されていた本で、ようやく読んだという感じ。男女のコミニュケーションの違いとか、暴力、加害性について倫理的哲学的に論じられている本だった。「ケア」と聞くと、看護師、介護士とかが想像されやすいけれど、この本で書かれているのはもっと広義な意味で、コミニュケーションのとり方、社会における立場の違いについてだった。それが分からず最初面食らったけれど、とても読みやすくこれが誰に届けたかったのか想像できた。新訳が出ているみたいなので、そのうち読めたらいいな。
11.24(日)最高気温15度 晴れ
『さよならのつづき』を観終えて「なんじゃこりゃ」とやる。『もうひとつの声』を読み終えた後だからか分からないけれど、人の命をかけてしか関係性を描けないことに強く失望した。この脚本を書いた人は北海道にも行ったことが無いし、ピアノも弾いたことがないのでは?と疑う話だったし、後半に近づくにつれとにかく不穏だった。唐突にクマが出てくるところはなんか良かった。
お昼に台所の棚奥深くに眠っていた、多分いつかの生理前に買ったインスタントラーメンに卵とキノコを落として食べたのだけれど、あまりにも軽くこんなんじゃ足りねえと散歩がてらパン屋に行き、サンドイッチを買って外で食べた。ハム、チーズ、レタス、キャロットラペが入っていた。風が思ったよりずっと強く髪が顔に当たって、パンと一緒に食べないように神経を使う。あっ、レタスを飛ばした。思いのほか格闘することになったお昼を食べ終え、スーパーで買い物をして家に帰った。洗濯もの乾いてるといいな。