カンミ読書(2.2-2.8)
とにかく必死で頑張ったけれど、ちょっとしんどいね。
2026.2.2(月)最高気温10度 晴れ
薄手のブランケットを洗濯して干した。茶色の毛玉だらけのそれを、こんな外から見えるところに干していいものか、などくだらない考えに脳内が占められている。
途切れ途切れで観ていた『ジェイ・ケリー』をようやく終えた。架空の超大物俳優、ジェイ・ケリーがマネージャーのロンと一緒に急遽ヨーロッパ旅に出ることになる。その過程で、見たくなかった自分と向き合うことになる、という話。私は監督のノア・バームバックの作品が好きなのだけれど、やっぱりこの監督は「孤独」の表現で自分を刺してくるなと思った。どんなに自分を「特別」だと思っていても、結局はそういうことじゃないかという場面があり、やっぱりやられた。
夕方、地元で共産党が演説をするというので行った。吉良よし子が来たのに、この街はやっぱり無風だった。反応が悪くて嫌になってくる。何でもあるから、この街に住んだけれど、今では無臭のここを選ぶことはないと思う。大抵のものを買えて、便利極まりないけれど、思想が無い、という所は住みにくい。昨年杉並区にプロテストのために行ったけれど、ベンチはたくさんあるし、「排除、差別を許さない」という区としてのメッセージを感じて、居心地が良かった。今だったらそういうところに強く魅力を感じるけれど、越してきた当時はとにかくこの表面的な便利さがいいって思ってたんだよな。
2.3(火)最高気温10度 晴れ
節分だということをすっかり忘れていた。一所懸命作業をして、合間にパフェを食べに行った。バレンタイン前なので、催事をやっていて、チョコの下見をしたけれど、気分が不安定。「こんな世で」という気持ちがどこまでも先に立つ。とりあえず投票に行って、「鬼は外」を心の中で強く祈る。
2.4(水)最高気温11度 くもり
今日が東京で選挙ボラできる最後だと、日本橋へ。「選挙ボラです」と申し出て、田村智子の顔が見えるように、ビラを配る。受け取りがいいのか悪いのか、普段ここにいないから分からない。田仲さんの真似をして「裏金に反対している党です」「戦争に反対しています」と言いながら。お昼休みの時間だからか、制服を着ている人たちが沢山いて、そういう人にはなかなか受け取ってもらえなかった。
終わった後に候補者と「選挙区が違うんですけれど、比例で入れました。新潟の出身です、原発再稼働に憂いでいます。共産党には、本当にお願いします」と一息で言ってグータッチ。そうしていたら、「新潟なんですか。私も新潟なんです」という同世代の女性が近づいてきて、少し話した。「不安で、もういてもたってもいられなくて。夜は、小さい子がいるので出かけられなくて」と言いながら、「これからポスティングするんです」と黄色いエコバッグに入ったビラの束を見せてくれた。合流した田仲さんと一緒に話を聞く。「あの、知らない人からもらったお菓子とか食べれます?これ私が最近好きなお菓子なんですけれど」とおやつ袋から古代米煎餅を出して一枚あげた。田仲さんも「これ、おいしいですよ!歯ごたえが良くって」と言ってくれる。「話せて、会えてよかったです。相互ケアしていきたいですね」と手を振りながら、言葉以上のものを交わした。
田仲さんと私は、その後蕎麦を食べて、プラカードを持ってプロテストに行った。そのまままた歩いて、一所懸命できることをした。
今の日本の状況で、分かち合えるものが思っていたよりはるかに少ない、ということに締め付けられる。私が「敏感」なだけなの?
2.5(木)東京と新潟、両県とも気温が高い
新幹線の中で、歯ブラシを忘れたことに気付いた。ケンザンもカッサも忘れた。まあ仕方ない、何とかなるだろと気持ちを切り替えて。隣にいたインバウンド客のグループが、新幹線を乗り過ごし、わたわたしている。無事に目的地に着ければいいけれど、在来線はどうなんだろうな。雪で遅延とかしてるだろうしと気持ちを巡らせる。
おにぎり2つをぺろりとし、メルヘンのサンドイッチもおやつに食べた。たった2時間の車内だけれど、おどろくほどたくさん食べるな。
駅で合流した母は、思ったよりはるかに元気だった。この1ヵ月半泣きの電話が無かったし、忙殺されているか、平気かどちらかだと思っていたけれど。一度家に帰って、お土産のパンを上げたら早速食べながら、近況を一方的に聞く。父の見舞いに行くということで、一緒に行った。
老人ぶりに心が泡立つ。看護師さんが手のマッサージみたいなのをしていて、リハビリの最中だったけれど、「面会の方が来たなら、またあとで」とのことだった。
私の顔を見たけれど、名前も呼ばないので「誰か分かる?」と半笑いで聞いたけれど、「分かるに決まってるこってね」と答えたのは母だった。「なんか、本を読みたいって言ってるってなおきに聞いて。『ゲド戦記』好きだったでしょ。とりあえず一巻と二巻だけ持って来たから置いておくね」とベッドサイドに置いた。病室の中を少しうろうろして、ドアに一番近い椅子に座る。申し訳ないけれど、これが私と父の距離。それにしても、白い眉毛がすっごい伸びてる。気管切開した傷もすっかり塞がっていて驚いた。母に「お前、1人で寂しくないか」と言うので「お母さん、すっごく元気になってて驚いたよ」と遠くから返す。母も「1人だと、家が汚れなくてほんとにいいの。本当にストレスが無くって!」とイキイキと返すので、父は顔をくしゃくしゃにして「そうか」と笑っていた。前に会った時には、手にミトンだったし、声も出せなくて、何が何だか分からなかったのに。父と母の会話から、父はその時のことを全く覚えていないと分かる。意識が朦朧としていて、ちゃんと「分かった」のは、先月の10日過ぎからだというのが父の申告。つまり、丸々一か月、記憶が抜け落ちているってことらしい。
仕事をまたしに行く、という母と途中で別れ、歩いて家に帰り、夜ご飯の支度をしていたら、また帰って来た。「おかえり~」と言うと「いや、もう本当に良いわ!」と声を弾ませるので「何が良い」のか聞いたら「帰ってきたらご飯があるんだもん。おじいちゃんとおばあちゃんのご飯、とか考えなくていいし、男の人っていつもこんななんでしょ。本当にさあ、何なんだよって」とフェミニストっぽいことを言うのでめちゃくちゃ笑ってしまった。「ばかばかしいよね」と言いながら、大根と手羽元の煮込みを多めに食べた。
食後にはっさくをむきながら、駅でもらった赤旗の日曜版、見本誌を一緒に読んだ。はっさくは天然の冷蔵庫で十分に冷え、奥歯が少ししみる。
2.6(金)最高気温9度 雪
午後から外せない用事があり、そのために色々合わせた。夕方、母と一緒に父のお見舞いへ。テトリスの長細い棒のように、扉の方を見ながら、隅っこに横たわっていた父。便秘でかなわず、座薬を入れてもらったそう。「もう本当に大変だ。透析の最中もうんたらかんたら」と話すので、おむつの中にしてしまうのは、あまりよくないという尊厳の現れなのか否かと考える。「今日は仕事でAさんが来るはずだったろう、どうだった」など、母に話もしていて、記憶は本当にはっきりしているよう。途中でとろみ剤を売店に買いに行くという、おつかいが発生して、嬉しかった。特に話すことはないから。
着ていた茶色のチェックシャツを父に見せ、「これ、わかる?」と聞いたら不思議そうな顔で「あ?」と言われた。「これ、お父さんのなの。年末にお母さんが、お父さんもう死んじゃうかも、って連絡してきたから、急いで帰ったのよ。それで、その時はもう死ぬっていう話だったから、クローゼットの服をさ、何枚か貰ったの。でも、お父さん生きてるから、着るなら返さなきゃって」と言ったら「形見分けだ」と言われた。どうやら貰ってもいいようだ。
夜によしお(上の弟)から母に電話があり、「今夜は映画を観よう」と待機していたのに、しょんぼり。よしおの声が漏れ聞こえてきて、どうやらよしおは、姉が父に対して強い想いをもっているのでは、と心配しているよう。私は姉とよしおよりは、父のこと、家のことにコミットしている自信があるが、憎んでいるというだけで話は聞いてもらえず、「親を憎む」ということは、世間的にはやっぱり後ろ暗いというか、聞く方も勇気がいるのか、あまり触れてもらえないことだと思い知る。本を読んでいたが、しんどくなり、自室に戻ってSNSに気持ちを吐露したら、涙まで出てきて驚いた。本心を言うというだけで、こぼれるものがある。
2.7(土)最高気温1度 雪
『パーフェクト・ネイバー:正当防衛法はどこへいくのか』を母と。長きにわたる近隣トラブルがある時に殺人事件に発展してしまうという話。今年のオスカーにノミネートされていると聞いて、軽い気持ちで観たけれど、BLMの話だった。途中で、「加害者」が警察2人に尋問を受けるという場面があり、男二人に白人女性が詰められている、というだけで、どんな背景があっても「可哀そう」に見えるという演出があり、さすがだと思った。
雪がそこまで積もっていないのでは、ということで、母と外食をして実家へ。祖父はもう耳も目もあまり効かないらしく、私のことが分からなかった。名前を聞けば分かるとのこと。目を覗き込んだら少し白くなっているように感じる。
お茶を出され、買って来たキンパをみんなで食べる。「お父さんどうなの」とか、介護、相続の問題を話していく母は楽しそう。母の親族は、あいづちを打つのがすごく上手だし、やっぱりよく笑う。話甲斐があるというかなんというか。私達が子供のころにお世話になっていた、叔母の両親がここ数年で亡くなった。おばあちゃんは「ピンピンコロリ」でいったらしく、「それってやっぱり日頃の行いが良かったのかなあ」と言ったら叔父が「そりゃやっぱりそうなんじゃないか」と言うので「じゃあ、お父さんは日頃の行いが最悪ってことかあ」と続けたら笑われた。まさに「憎まれっ子、(周りに迷惑をかけて)世にはばかる」。
2.8(日)最高気温2度 雪
「一晩で40センチ、79センチ積もる」という風に脅しをかけられ、今日は家から出ないことにした私と母。投票も期日前で済ませたし、ゆっくりするというので、母は『卒業』を観ていた。感想を聞いたら「とにかく音楽が良かった。ミセスロビンソンが何なのか、ちょっとよくわからなかった」とのこと。夜ご飯はなおきがもらってきて「要らない」という折詰のエビフライ、刺身などあるもので済ませる。なおきは近所とか、組合の付き合いでよくいろんなものをもらってくるが、たいていが不要らしい。老人ばかりの集まりに行ってくれて、それだけは本当に感謝している。
お風呂上りに『あのこは貴族』を観終えて、その後ニュースで選挙速報を見た。自民圧勝、というか、圧勝すぎる。母が「これは何なんだ。一体どういうからくりなんだ」と言っていたのが頭に残る。あまりにも不安だけれど、これ以上負荷がかかると眠れなくなる気もして、自室に引っ込んだ。誰が潰されるのか、考えただけでおそろしい。




突然のコメントすみません。いつも読ませていただいています。
できたら教えてほしいなーくらいなのですが、原発関連で、問題点の全体像がおおまかにつかめるような内容で、おすすめの本があれば教えていただけますでしょうか。
実は今度、知り合いの紹介で原発の見学ツアーに参加する予定で、反対運動とかするような場ではないのですが、先方の意見に偏らないように色々勉強しておきたいなと考えたためです。
お手すきのタイミング(というのも少なそうですが)で思い出していただけたら幸いです。
色々なことがありますが、カンミさんにとって良い方向に状況が動いていくことを祈っております。