カンミ読書(5.12-5.17)
あらゆるものが無くなることが表明され始めた。物も色も消えていく
2026.5.11(月)最高気温26度 晴れ
実は一昨日から喉が痛い。咳も痰もたまに出るということで、病院へ行った。一応事前に電話をして「熱はないです」と話していたからか、一般の待合室だった。初めて行くところなので受付表を書いた。結局「風邪じゃないですか」ということになり、薬局で薬を受け取って帰宅した。
小学校の近くの病院だからか、歩道にカワイイオブジェが幾つかあり、子供たちが少しでも不安じゃないような工夫なんだろうと写真を撮った。自分の通学路は、周りに田んぼと虫しかなかったので、都会はすごいな。
帰りに図書館へ行って、届いていた本を全部貰ったら重すぎて笑う。これはもう超絶技巧で読んでいくしかない。
5.12(火)最高気温28度 晴れ
『シンプル・アクシデント/偶然』を観るため、仕事終わりに夕方の渋谷。映画館に入るなり、咳こんでしまう。これ結局花粉とか何かのアレルギーなんじゃないか?熱も無いし。
映画は良かったんだけれど、パナヒ監督は懐が深いなあという感想になった。かつて不当な理由で投獄されたワヒドは、偶然自分を拷問したのではないかという男に出会う。彼は義足で、歩き方に特徴があった。強引に彼を誘拐し、車の荷台に拘束し、穴を掘って彼を埋めようとしたが、本人から「人違いだ」と言われ、不安になった。IDカードを見ると、確かに名前が違う。拷問中は目隠しをされていたので、彼の手掛かりは足音のみだった。彼は本当に自分を拷問した男なのか?確信が持てなくなったワヒドは、それを確かめるため、男を拘束したまま車を走らせる。という話。
推測するにこれはコメディで、かつて拷問されていた主人公、そしてそこに集まってくる被害者たちが同じことをしている、という話なのだけれど、最初に書いた通り、監督は懐が深い。もちろん無実の人を殺していいわけではないし、結局誰が悪いのかという話になるが、己を省みるとかいざという時にできるか自信が無かった。人の良心とか、ここまでめちゃくちゃな彼らが慣習に弱いところとか、きっと笑って欲しかったんだろうけれど、笑う気になれなかった。パナヒがイランの現状を憂いで居ることは過去作を観ればわかるけれど、ここまで希望を捨てず撮り続けていることに敬意しかない。
そのままデモに行きたかったけれど、忘れ物をいくつかしたことに気付いて帰宅することにした。くしゃみと鼻水が止まらない。
5.13(水)最高気温26度 晴れのち曇り
『プラダを着た悪魔2』を朝イチで。馴染みの映画館では連日満席大ヒットなので、早朝しかゆったり観られなさそうなので。それでも混んでいた。
コスト削減のため報道記者をクビになったアンディのもとに、『ランウェイ』を一緒に立て直してくれとの連絡が入る。かつて働いた会社は、差別を容認する雑誌と叩かれ、キャンセルされていた。特集エディターとして『ランウェイ』に戻ったアンディは、再びナイジェルとミランダと働くことになる、という話。ワシントンポストが調査報道をする人たちを大量に解雇したニュースを覚えている人も多いと思うけれど、既視感があるアンディの絶望。
『プラダを着た悪魔』、を観た当時はファッショナブルだし、アン・ハサウェイはかわいいし好きな1本だった。けれど今となっては「こんな夢のような職場で働けるなら、こんな激務でも、健康を無視して痩せることも許容して」という恐ろしい物語だと思う。今作では、ミランダは牙を抜かれたライオンで、コートを自分でかけ、酷い「ユーモア」も無くしていた。映画は想像より面白く、2020年代の作品に切り替わっている。『セックス・アンド・ザ・シティ』シリーズもそうだけれど、ちゃんと反省して、同じことをしないようにしている姿勢だけでも好感が持てるし、「好き」「面白い」と堂々と言える。
ナイジェルが報われたのがよかったな。メリル・ストリープはミランダを演じるにあたり、クリント・イーストウッドの話し方を参考にしたということを当時語っていたことも思い出した。
映画を観た後にカルビーのポテトチップスをスーパーで買って、官邸前へ。今日はここで、国家情報局設置に抗議する集まりがあるという。物価高もひどい、韓国では最大6万円の支援金だというが、日本の国会で話されているのは国旗毀損罪とかについてだ。いい加減にしてくれ。餓死者と自殺者が大量に出る。先週も書いたけれど、そんな世に生きる覚悟がない。
考えることは同じで、のり塩を持ってきている人がいて、「開けたら食べる」と言った知らない人と3人で回し食いをした。「何味が一番好きですか」と食べているだけの人に聞いたら「うす塩ですね」と申し訳なさそうに言われた。塩もうまいよね。買う時悩んだんだよ。
5.14(木)最高気温25度 曇りのち雨
久しぶりの美容室でカットとトリートメント。先月は気が塞いでいかなかったけれど、さすがにと思い予約した。担当の人は高市支持の印象があったけれど、私に政局のことを聞いてきた。手袋とラップが手に入らないという。「これいつまで続くかわかりますか」と言われ「戦争は年単位で続くけれど、どうだろうね。今国会で何の議論してるか知ってる?国旗毀損罪とかだよ。自民党を倒さないと、こちらに寄り添うってことはないと思う。だって無いものも”ある”しか言わないでしょ」と言ったら「じゃあもう無理じゃないですか」と言われた。「もうデモとか行くしかないと思うよ」と言ったら「行こうかな」とその場限りかもしれないけれど言っていた。
あなたが何を支持しようと自由だが、自民党のせいで、生活が壊されるということだけはどうか知っていて。そして忘れないで恨んでほしいと願う。
5.15(金)最高気温24度 曇りのち晴れ
夜中に発熱し、不安で一応病院に電話。「月曜日に診察お願いしたんですけれど…昨夜夜中に発熱しまして…今は平熱というか、36度くらいなんですが…薬が無くなるので今日もお願いしたいんですが」というと、個室を取ってくれるという。家を出る時に少し寒いかなと思った長袖シャツ姿は、歩いているうちにちょうどよくなった。個室で熱を測り、軽い問診をし、血液検査もしたけれど、感染症ではなくて安心する。マスクをしていたけれど、移動していたから、誰かにうつしたらと不安だった。
薬と合わせて1200円くらいだった。国民皆保険が壊される日もいつか来るのかと、想像しただけで辛い。
午後からボイチャをしながら仕事。あなぐまさんがやってきて、政治の愚痴、不安を吐露した。私は2月から「原油が無くなるとこうなるのではないか」という予測を職場で話していて、私の言うとおりになってきている。それに関して「こういうのを株の予想とかで使えたらいいのにね」と笑いながら言われて「そうだとしても、今儲かってるのって、三菱重工とかでしょ。武器をつくるんでしょ。それってどうなんだよ」と思いのほか強い口調で言ってしまった。もっと柔らかく言えたのかもしれないと思うけれど、これこそ怒らないといけないことなんだと思う。こういうさもしい、心が死んでいくような話をもうしたくない。という話を聞いてもらう。「でもそういう人は株を買いそうですよね」と言われ「そうだよね~~~」と返した。何度も言っているけれど、色んなことが他人事で、関係ないと思える、他力本願な国民性なんだろうなと思う。
日常で政治の話をするしかないんだろうけれど、それは特効薬にはならず、芽吹くのを待つしかないんだろう。そこまで精神が持つ気がしない。
5.16(土)最高気温27度 晴れ
『ラディカル・マスキュリズム』をご飯を食べた後に少しだけ。男性学の話は、馴染みが無いようである。私たち女性はいつだって男性を意識しないと生きられない。正直ばかばかしい。「男性は場に色んな人が入ってくることに寛容ではあるが、実際問題は解決されない」という部分が、脳に焼き付き、色んなことに納得がいった。結局ある種の余裕なんだろうけれど、家父長制が解体されない理由でもある。
午前中にACPの勉強会が入っていて、会場に行ったらいつものように、ぶっちぎりで若かった。正直思っていた場と違った。自分が今持っている知識以上のものは座学ではなかなか得れず、がっかりすると同時に必要ないのかもしれないなと思う。贔屓のカレー屋にご飯を食べに行ったけれど、少しひっかかることもあった。上手く行かない。
区のフリースペースで『母親になって後悔してる、といえたなら―語りはじめた日本の女性たち―』を読み終えた。『母親になって後悔してる』は持っているけれど、積んだままだ。買う時に母がタイトルを見てぎょっとしたように読み上げたことを今でも思い出せる。ショックだったのかもしれない。
私は母に、母であることを後悔していてほしい、という気持ちがある。子供時代に見ていた母は、自由も無く、姑である祖母にいつも叱責され、自分は子どもながらに母を守ろうとしていた。良い子でいないと怒られるということは分かっていたけれど、それもできず自分を責めた記憶と体験が色濃くある。『母親になって後悔してる、といえたなら~』には、子どもを出産してすぐに「大変なことをしてしまった」という現実が襲って来た「母親」たちが登場するけれど、母にはそういう瞬間は無かったんだろうか。結局私自身の中に、今の自分に負い目があり、その理由を探しているし、人生の後悔を母と共有したいだけのような気もする。感情を押し付けてはいけないということは分かっている。
本を読み終わって、太ももを見るとパッチがついていた。抵抗と連帯を意味したもので、紫の地にユニコーンのイラスト。このスペースには30人くらいの大人がいるけれど、何人が戦争と原油、政治のことを考えているだろうか。少しでも意識させたいという気持ちでなるべく着けるようにしているけれど、どのくらいが気づいてくれるか。伝わってくれ。虚しさだけでも共有したい。
5.17(日)最高気温29度 晴れ
洗濯物を干してボイチャ。沢山話していたら眠くなり、痰を吐いた後に昼寝をした。栄養を摂らねばと、お昼に茄子とにんにく、豚肉をごま油でいためたものをつけ汁にした蕎麦を食べる。めんつゆを1本ストックしているけれど、足りないかもな。今度もう1本買っておかないといけない。乾麺ももう一袋買わないといけないんだろう。ばかばかしい。
午後からもとにかく寝て、太ももに汗をかきながら起きた。とりあえず寝間着を洗濯して干す。何をしても、この日常がいつまであるかという不安が反復してやって来て、ほとほと嫌気がさした。コロナの比じゃないこの不安が、自分の日常にあることが許せない。



